MIFUMA ” ME”

Mifuma「Me」

本能で制作し続けること10年余り、彼女が辿り着いたのは、我々がまだ見ぬエレクトロニック・ミュージックの辺境だった。Bwugung Rec.の双翼Manatholが総合プロデュース、ミックス、マスタリングを敢行。共鳴した Ragatighten a.k.a Ao Inoue (ex Dry&Heavy)、Cutsigh (Audio Active)、Kouhei Matunagaの変名プロジェクトNHK-Muslim、Jemapur、Sabiらが参加。

Tracks

Mifuma「Me」

01. Out Put
02. Comeon Comeon
03. PUNC
04. U
05. HiJack
06. Sniper Feat.Ragatighten / FUMIE ver.
07. Cross-section Of Your Electric Brain
08. Le Reve d’un violon
09. Golden Chocolate
10. TamaRiverDance
11. Sniper Feat.Ragatighten / Manathol ver.
12. Out Put [Cutsigh Remix]
13. Cross-section Of Your Electric Brain [Jemapur Remix]
14. PUNK [NHK-muslim Mix]
15. U [Sabi Remix]

Label: BWUGUNG REC. / PHASEWORKS
日本盤CD / PBWCD01 / ¥1,800(税別)
発売日: 2014/12/17(水)
Written: Fumie
Producer: Manathol
Mastered by Manathol
Artwork by Hisa
Presented by Phaseworks

Preview

Shop List

取扱い店
»  Amazon
»  ディスクユニオン
»  WENOD RECORDS
»  TOWER RECORDS ONLINE

Biography

Mifuma

様々なジャンルの音楽を楽しみながら学生時代を過ごす。一通りを消化し、巷に溢れる音では物足りず迷走していた頃、当時GROUND REVERSEとしても活動していたManatholとの出会いにより、ダンスミュージック、エレクトロニカ、ダブ、などの研ぎ澄まされた音響を体感し、 音の深さに触れ感覚は完全に覚醒される。そしていつしか「聴く側」から「産む側」へと変貌を遂げ「ミフマは誕生した。」ただ単純に音楽にまみれて過ごす、い ち生命体(女)の約10年間に渡る日常生活から、気まぐれにアウトプットされた楽曲の数々をManatholがプロデュース。エディット、ミックス、そしてマスタリングまでを行う。そして、2014年 冬、ついにBwugung/Phaseworksからファースト・アルバム「ME」が発表される。

Photo by Yuichiro Noda
https://soundcloud.com/mifuma


Manathol

あらゆるリズムに興味を持ち、独自の解釈で音像を生成、抽出、解体、再構築、再出力を繰り返すビート中毒重傷患者。バイクと犬。多目的自主制作レーベル BWUGUNG [ブガング] 主宰。ユニットプロジェクトとして、Ground Reverse(w/Jody Tenpool)、Pull Out(w/Jemapur)、mifuma(w/FUMIE)等。近年の活動として、オウテカ日本公演時オープニングアクト、2008 年発表の1st Album [BAKETO] リードトラック”BAKETO”がMille Plateaux V.A. [Clicks & Cuts 5.0 – Paradigm Shift] に収録等が挙げられる。

http://bwugung.com/
http://www.mixcloud.com/Manathol/

Description

近年のムーヴメントに照らし合わせればインダストリアルと言えなくもないラフな音塊を、既存のフォーマットからはどこかしら逸脱したビートワークで構成。突如浮かび上がる、ラテンから中近東、ジャズまでをチョップしたサンプル群。それもまた明らかに、世間的に善しとされるタイミングではない謎のトリミング。まるで、街を歩きながら移り変わる興味の対象をそのまま音にしているかのよう。Mifumaの音楽は。ちょうど、女の子がディープな物思いに耽りながらも買い物はしっかりとこなしているみたいな感覚。近年注目を浴びている女性クリエイター、例えばLaurel Halo、Inga Copelandといった人々は、音楽的インプットよりも感覚的インプットを自身の作品にフィードバックさせる傾向があるように思えます。ハイプがローラーコースターの如く移り変わるエレクトロニック・ミュージックのシーンにおいて、時流にコミットすることなく完全なるオリジナリティを確立し、かつ時代の空気と呼応した作品を創り上げることは恐らく至難の業であることでしょう。ことに、音楽的インプットの情報量が多ければ多いほど。それでも上記の面々は、その試練をいとも容易くパスしているように見受けられる(制作にあたっての努力は別問題として)。これは一体何なのだろう?特定のゴール、J Dillaみたいなビートにしたいだとか、Burialみたいな音が作りたいだとか、誰もが持ちうる願望が渦巻く状況下にあって、スタンドアローンであり続けるというのは、ある種の動物的な感性、もしくは(ざっくりと宗教的な恍惚、といったものに近しい意味で)神に近づかんとする境地になければ成し得ないのではないか?と考えてしまいます。あるいは音楽とは距離を置いた日常生活に軸足を置くか。

かつて日本人は、芸事に身を投じる者に“人に非ず”という文字を充て、神事を司る者と同等に列し語りました。すなわち情景や心象をテキストや発音として具現化する俳人、また身体を用いて顕現する俳優といった人々は、常人とは一線を画す存在として言わば、聖別されていたわけです。現代のそれはどうでしょう。芸事は芸術として先鋭化すると同時に、対価を得る手段、職業・ビジネスとしての発展を遂げ、千数百年の歴史が積み重ねられます。1800年代には、録音、録画という新技術とその多様化の下、産業サイドからすれば金蔓か駒のひとつとして目されることも珍事ではなくなりました。状況からあぶれれば最期、もはや芸事に携わることを赦されず、他の道を選択すべしという無言の圧力に屈する者も現れます。これを“人間”と言わずして何と呼びましょう。芸事の歴史は、人の理を超えた者の“人化”に至る歴史でもありました。それでもなお、時代時代のバックグラウンドに倣い芸事に勤しむ人々は消滅するどころか増殖の一途を辿っていますし、わたしたちが芸術から“何か”受け取る瞬間には、ロジカルには語れない、テトラグラマトンが如く語ることを憚られる現象が発火することもまた確かなのです。

現代、皆様の身の周りのミュージシャンたちはいかがでしょう。一握りの猛者を除けば、おそらくは職を持ち、家庭を持ち、とある歌手の表現を用いれば“人間活動”を基盤に持ちながら芸事に励んでいるはずです。ひと昔前であれば放蕩とされたであろうその生活様式は、今や何ら不自然なものではありません。わたしたちは、誰もが“人間の”プレイヤーとして音楽を楽しむ時代に生きています。コンピュータを取り巻くテクノロジーの進化が状況を加速させていることは言うまでもありません。再生される機会が訪れないかもしれないファイルを含む天文学的な数の音楽がワールドワイドウェブに解き放たれていることを想像すると、“人化”の歴史が新たな局面を迎えていることを考えざるを得ません。情報の海に人知れず、かつ確実に沈んでいる“何かを放つもの”を白日の下に導くのは大方が受ける側の、人の手によるものであって(それすらも当然情報に依存しているということもあるのだけれど……)、その様はさながらディヴァイン・インターベンション。過去とは異なる方向から聖性を取り戻しているように見えなくもないのです。ただしそれは勘違い。その主体はやはり作り手とその被創造物からしか生まれ得ないものであるという事実は揺るがないのです。

さらにカテゴリを絞って、皆様の身の周りにいらっしゃる女の子ミュージシャンたちはいかがでしょう。一握りの猛者を除けば、おそらくは職を持ち、家庭を持ち、とある歌手の表現を用いれば“人間活動”を基盤に持ちながら芸事に励んでいるはずです。しかし現代の女の子はこの、人間活動に付随する諸々が男子に比べて何とまあ大きいことか。炊事、掃除、洗濯は男子だって携わるけれど、ヘアサロン、ネイル、脱毛、服飾、服飾、子育て、ダメな旦那の調教……女の子にとっての死活問題は明らかに男子よりも多岐に亘り、かつ大きなウェイトを占めています。“でも音楽を創造する悦びに気付いてしまった”。Mifumaの主体となっているFUMIEは、そんな女性。作るからには手は抜きたくない。ネイルと同じくらいにね。でもやっぱり人間活動が重く圧し掛かる……。そこで彼女は近しい、かつ人ではない存在……愛犬“me”から勇気を受け取り、難題に身を投じはじめました。音楽制作について詳しいことはよくわからない。でも頭の中には追い求める“何か”が必ず存在する。それを具現化しなければ。人間活動から吸い上げたマテリアルを人ならざる状態でブーストする。これを“人外”と言わずして何と呼びましょう。Manatholによるプロデュースで輪郭を手に入れたその音楽は、現代の女性が作り上げる音楽のひとつの象徴、証明と言えましょう。

久保田 千史

Shop List

取扱い店
»  Amazon
»  ディスクユニオン
»  WENOD RECORDS
»  TOWER RECORDS ONLINE